芯のある強い人間になりたい



これまでの人生で何ひとつとして成し遂げられたことはなかった。


嫌なことからは基本的に逃げてきた。
自分に自信が持てなかった。


好きでやってた野球も特に努力せずにリトル、シニアリーグでもクリーンナップを打ち、背番号1を付けて投げていた。

高校は甲子園で優勝もした事がある名門に進学した。
3年になればレギュラーになれるだろうなんて思ってたが、入部3ヶ月で思い知らされた。

半年で退部した。

期待してくれていた周りの人たちの視線が痛かったのを鮮明に覚えている。

野球を辞めてからゲーセンに入り浸っていた。大学には推薦で入った。
大学ではバイトをしながら、ゲーセンでアーケードゲームを廃人のようにしていた。
大学とかリアルの友達よりゲーセンやネットの友達の方がずっと多かった。
大学生らしい事はほとんどしていなかったかもしれない。
怠惰な生活に違和感、焦り、リア充たちに劣等感を感じながらもそんな感じで4年間過ごした。



女性関係に関しては決してモテない、いわゆる「非モテ」ではなかったと思う。
中学2年生から彼女はいた。中3で童貞は卒業した。
同級生で童貞を卒業してる奴は少なかったから優越感を感じていた。


高校でも人並み以上に彼女は作ったと思う。
付き合う期間は短かった。すぐ面倒くさくなったし、飽きることが多かった。
その時から本当にいいなと思った子には好かれなかった。


社会人になってまた彼女ができた。
年下で笑顔が可愛くて顔だけでいうと今までの彼女な中で一番可愛かった。
自分のことをすごく好いてくれた。自分もそれに応えた。
でも、長くは続かなかった。1年経たないで別れた。
原因はいつものように自分だった。寂しがりな彼女を蔑ろにした。
恐らくだが、新しい彼氏候補がいたと思う。



別れを告げられた時、猛烈な損失感に襲われた。
動悸が酷く、めまいがして倒れそうだった。
その夜はほとんど寝れなかった。
次の日、仕事が休みだったので部屋にいたが、やり場のない気持ちでいっぱいになり頭がおかしくなりそうだった。枯れるまで泣いた。初めての失恋にして人生で一番つらい出来事になった。



しばらく何もする気にならなかった。
仕事も上の空で、職場の有線で彼女が好きだった曲が流れると仕事中なのに泣いた。


それから中学の時の同級生の女の子に話聞いてもらったりして、ほんの少しだけ楽になった。
ただ、毎日元カノが頭に浮かんだ。夢にも何度も出てきた。


しばらくして、復縁したいと思うようになった。
復縁 やり方でggった。その類の本も読んだ。
どの記事にもそのままの自分が何を伝えても無駄、冷却期間を置いてその期間に自分を磨くべきだと書いていた。


それから、しばらく自分磨きに徹した。

コンプレックスは全部直そうと思った。
ジムに通い、自己啓発本を読み、お洒落に気を使い、外見、内面共に成長した。

少しづつ変われてる自分に自信を持ち始めた頃、久しぶりに元カノにLINEを送ってみた。

素っ気ない返信はあったものの、付き合ってた頃の甘い文面との落差で吐き気がした。
会えなければ何も伝えれないし、感じてもらえない。
約半年かけて手に入れた自信はすぐに消し飛んだ。
何度かLINEしたものの、復縁できる可能性を全く見出せなくて、完全に心が折れた。



「本気で失恋したら、新しい恋愛を本気でするまで前の人のことは忘れられない。」

この手の言葉は復縁について調べていた時によく目にした。
その通りかもしれないと思った。





H29.2
月日が経ち、たまたまツイッターでナンパ師という存在がいることを知った。
その人たちのブログを読んで衝撃を受けた。街で女の子に声をかけて飲みに連れ出し、最終的にホテルでセックスをする。クラスタと呼ばれるグループに所属し、同じ志の人たちと楽しくナンパの話をしながら飲んだりコンビでナンパしたりする。

ーこんな世界が本当にあるのか?
 ツイート、ブログから溢れ出す自分への絶対的自信や圧倒的な文才に驚かされた。
それでも、最初は半信半疑だった。

色んな人のツイートを見ることでその疑念は払拭された。

自分もやってみたいと思った。ただきっかけがなかった。
同じ地域で活動しているナンパ師さんを中々ツイッターで見つけられなかった。

そんな時、某ナンパ師さんのツイキャスを見つけた。
営業時間が終わり1人で残っていたので職場で聴いていた。



「⚪︎⚪︎でナンパ祭りの前にみんなで飲んでます。どなたでも歓迎なんで気軽に参加して下さいね」



地元だった。
アララギという名前ですぐに参加したい旨コメントして急いで準備して街に繰り出した。
自分のナンパはここから始まった。









アララギ、いや、たいがって呼んで下さい」